振込予定日を過ぎても、報酬が来ない。
連絡しても「確認中です」「少々お待ちください」のまま数週間が経過する——
委託会社が倒産した、意図的に払わない、単純なミス——理由は様々だが、未払いが発生した場合の初動を知っておくことが重要だ。
未払い発生から動くべきタイミング
| タイミング | 行動 |
|---|---|
| 支払日当日 | 振込確認・担当者へ連絡 |
| 翌日〜3日後 | 書面(メール)で正式に確認を求める |
| 1週間後 | 内容証明郵便の準備・送付 |
| 2〜3週間後 | 少額訴訟・支払督促の検討 |
| 1ヶ月以上 | 法的手続きに移行 |
早く動くほど、回収可能性が高い。会社の資金繰りが悪化している場合、後から請求した債権者より先に動いた債権者の方が回収できる可能性が高い。
STEP 1:証拠の整理
未払い請求の前に、以下の書類を整理する。
- 委託契約書(報酬額・支払日の記載)
- 稼働記録(日報・配送記録・アプリのログ等)
- 過去の支払い実績(通帳記録・振込明細)
- 報酬明細書・請求書(交付されていれば)
- 担当者とのやり取り記録(メール・LINE等)
稼働実績と契約上の報酬額を照合し、未払い総額を計算する。
STEP 2:内容証明郵便の送付
内容証明郵便は、「いつ、どんな内容の文書を送ったか」を郵便局が証明する制度だ。法的効力はないが、「正式な請求をした事実」が残ることで、相手への心理的プレッシャーと、後日の訴訟準備になる。
内容証明の書き方(基本フォーマット)
令和〇年〇月〇日
〒〇〇〇-〇〇〇〇
〇〇県〇〇市〇〇町〇-〇
株式会社〇〇〇〇
代表取締役 〇〇 〇〇 殿
〒〇〇〇-〇〇〇〇
〇〇県〇〇市〇〇町〇-〇
〇〇 〇〇(送付者氏名)
報酬支払請求書
私と貴社との間で締結した業務委託契約(令和〇年〇月〇日付)に基づき、
下記の通り報酬が未払いとなっております。
記
未払い期間:令和〇年〇月〇日〜令和〇年〇月〇日
未払い金額:金〇〇〇,〇〇〇円
支払期限:本書面到達後14日以内
期限までにご入金がない場合は、法的手続きを検討いたします。
以上
内容証明の規則:
- 1行26文字・1枚26行以内
- 3部作成(発送用・郵便局保管用・自分の控え用)
- 郵便局の「内容証明」窓口で送付
STEP 3:少額訴訟(60万円以下の場合)
未払い額が60万円以下であれば、少額訴訟が利用できる。弁護士なしで本人申請が可能だ。
少額訴訟の特徴
- 費用:印紙代(請求額の1%程度)+ 郵送費
- 期間:申立から1〜2ヶ月で判決
- 場所:相手方の住所地または合意した管轄の簡易裁判所
- 審理:原則1回の期日で審理・判決
申立に必要な書類
- 訴状(裁判所の書式、または自作)
- 証拠書類(契約書・稼働記録・未払い明細等)のコピー
- 当事者目録
裁判所の窓口に相談に行くと、書き方の案内を受けられる。
STEP 4:支払督促(60万円超の場合)
60万円を超える未払いや、少額訴訟の手続きが複雑に感じる場合は「支払督促」という手続きがある。
- 簡易裁判所に申立
- 相手方が2週間以内に異議申立をしなければ、強制執行が可能になる
- 異議が出れば通常訴訟に移行
会社が倒産していた場合
委託会社が倒産(破産・廃業)していた場合、個人として回収するのは難しくなる。
しかし、以下のケースでは回収できる可能性がある。
1. 破産管財人への債権届出 破産手続きが開始されている場合、破産管財人に債権を届け出ることで、財産分配の対象になりうる。
2. 代表者への個人請求 会社の財産隠しや詐欺的な行為があった場合、代表者個人への損害賠償請求が可能な場合がある。
3. 労災・未払い賃金立替制度 労働者性が認められる場合、独立行政法人・労働者健康安全機構の「未払賃金立替払制度」が適用できる場合がある。
一人で動ける限界
少額訴訟・内容証明は自分でできる手続きだ。ただし、相手方が争ってきた場合や金額が大きい場合は、専門家の支援を検討する。
- 法テラス(法律扶助):収入が一定以下なら弁護士費用の立替あり
- 労働基準監督署:労働者性が認められる場合の未払い賃金相談
- 弁護士費用特約:自動車保険に付帯していれば使える場合あり
未払いは時効(原則5年)があるが、早く動くほど回収可能性は高い。
本記事は情報提供を目的としており、法的助言ではありません。個別の状況については、弁護士または法テラスにご相談ください。