元請け・二次委託を経由せず、荷主が直接あなたの会社に発注する。中間マージンが消え、受け取る単価が上がる。ドライバーへの配分を増やす余地が生まれる。
この状態を作るための入口のひとつが、HPだ。
なぜ軽貨物会社にHPが必要なのか
新しい配送業者を探す荷主の担当者が、地域名と「軽貨物」「配送」などの言葉で検索し、出てきた会社のサイトで対応エリアや連絡先を確かめる——そういう探し方をする担当者にとって、HPのない会社は候補に入らない。
紹介で話が始まった場合でも同じだ。先方が「念のため」と会社名で検索したとき、実績・対応エリア・問い合わせ先を確かめる場所がなければ、商談の温度が下がる。HPは営業ツールである前に、会社の実在と体制を確かめてもらうための場所だ。
当サイトの神奈川県の軽貨物運送会社一覧は、自社の公式サイトを公開している法人だけを1社ずつ確認して掲載している。サイトを持たない会社は、こうした「エリアで業者を探す」ための一覧にもそもそも載らない。
多重下請けのコスト構造を数字で見る
荷主が1日¥20,000で発注した仕事が、元請けを経由してあなたの会社(二次委託)に届く場合を試算する。
| 経路 | 受取額(日額・試算) | 差引 |
|---|---|---|
| 荷主の発注額 | ¥20,000 | — |
| 元請け(一次委託)が受け取る額 | ¥18,000 | −¥2,000 |
| あなたの会社(二次委託)が受け取る額 | ¥16,000 | −¥2,000 |
荷主と直接契約できれば、同じ仕事の受取額は¥20,000になる。差は1台1日あたり¥4,000(試算)。
1台・月20日稼働の場合
直取引 ¥20,000 × 20日 = ¥400,000/月
二次委託 ¥16,000 × 20日 = ¥320,000/月
差額 ¥80,000/月(試算)
10台すべてを直取引に置き換えられた場合
差額 ¥800,000/月(試算)
10台すべてを置き換えるのは現実的ではない。まずは直取引1件・1台分でも月¥80,000前後の差が出る、という規模感で捉えてほしい。この差額は、ドライバーの単価引き上げ・車両の更新・資金繰りの安定に回せる原資になる。
※単価と中間マージンの率は案件・地域・契約形態によって大きく異なる。上記は構造を示すための筆者試算。
荷主が「問い合わせたい」と思うHPの条件
検索で見つけてもらうだけでは足りない。サイトを見た担当者が「ここに聞いてみよう」と思えるかどうかが分かれ目だ。
条件1:対応エリアが具体的に書いてある
荷主が最初に確認するのは「自分の配送エリアをカバーしているか」だ。「関東エリア対応」では判断できない。都道府県・市区町村レベルで書く。
条件2:対応できる荷物・案件の種類が書いてある
「小型荷物中心」「冷蔵・冷凍は不可」「医療関連の定期便あり」——具体的に書くほど、荷主は自分の案件を頼めるか判断しやすい。
条件3:体制が数字で出ている
「創業◯年・稼働車両◯台・ドライバー◯名」。初めて取引する荷主にとって、数字は判断材料になる。盛らずに、実数を書く。
条件4:問い合わせの敷居が低い
電話番号だけでなくフォームも置く。担当者が「とりあえず聞いてみよう」と思ったとき、フォームのほうが動きやすい場面は多い。
条件5:スマホで読める
担当者が外出先のスマホで確認することもある。スマホで崩れるサイトは、それだけで印象を落とす。
検索で見つけてもらうための最低限の設定
難しいことは要らない。最低限、次の3つを押さえる。
- ページタイトルに地域名と業種を入れる:「[地域名]の軽貨物配送|◯◯運送」のように、何の会社がどこで営業しているかをタイトルで示す
- 対応エリアの地名を本文に書く:検索エンジンは本文のテキストを読む。画像の中の文字だけでは伝わりにくい
- 実績やお知らせを止めない:月1回でもいい。更新が何年も止まったサイトは、荷主から見ても「今も営業しているのか」が分からない
「紹介だけで十分」という判断に潜むリスク
「うちは紹介で仕事が来ている」——今この瞬間は、それで回っているのかもしれない。ただし見落としが2つある。
第一に、紹介ルートは紹介してくれる相手の状況に依存している。 紹介元が廃業する、事業を縮小する、別の会社に乗り換える——そうなったとき、代わりの入口がなければ売上が直撃を受ける。
第二に、紹介された相手も検索で確認する。 前述のとおり、紹介で始まった商談でも、確認できる場所がなければ話が止まりやすい。
紹介が機能している今のうちに、検索からの入口を並行して作っておく。それが依存を分散させる現実的な順番だ。
HP制作費と単価差の比較(試算)
当サイトの法人向けHP制作の料金で比較する。
初期制作費(税込) ¥55,000〜
管理費(サーバー・ドメイン込み) 年¥11,000〜
初年度合計 ¥66,000〜
前述の単価モデル(直取引で1台1日¥4,000の差)なら、直取引1件・1台分で月¥80,000前後の差になる(試算)。直取引が1件取れれば初年度の費用は回収できる計算だが、HPを作れば直取引が取れるという保証はない。問い合わせが来るまで数か月かかることも、来ないこともある。制作費は「直取引の入口を持つための費用」として判断してほしい。
まとめ:直取引を取りにいく手順
| ステップ | 内容 |
|---|---|
| 1 | 対応エリア・荷物の種類・体制(台数・人数)を整理する |
| 2 | HPを作る(スマホ対応・問い合わせフォームあり) |
| 3 | ページタイトルと本文に対応地域の地名を入れる |
| 4 | 月1回以上、実績やお知らせを更新する |
| 5 | 問い合わせが来たら、その日のうちに返信できる体制を作る |
本記事の単価・費用対効果は筆者試算です。実際の数値は地域・案件・契約形態によって異なります。